画面解像度の「×」の前後にスペースがない理由


スマートフォンやタブレット、パソコンなどのディスプレイの画面サイズを「水平画素数×垂直画素数(ヨコ×タテ)」という書き方で、「2560 × 1600」のように表します。これを「2560×1600」と「×」の前後にスペースを入れずに表記することもよくあります。どちらが適切なのでしょうか。


目次

  1. 画面解像度表記の実例
  2. スタイルガイドはスペースが必要といっている
  3. 「×」の前後にスペースがない理由
  4. 寸法の場合読み方は「by」

掛け算記号「×」については、本サイトの記事「掛け算記号:xかけるyを書ける?」もご覧ください。

1. 解像度表記の実例

画面サイズや画面解像度を掛け算記号「×」を使って「1024 × 1366」のように表します。

次の例のように、「×」の前後にはスペースを入れて表記するのが一般的だと思います。(この例ではいずれも、掛け算記号「×」の代用としてアルファベットの小文字の「x」が使われています。)

【画像の引用元】Kyle J Larson, All The Specs You Need!, “iPad Screen Size Guide & Web Design Tips” (2018-03-29)

www.whatismyscreenresolution.com
【引用サイト】What is my screen resolution” (2018-03-29)
サイトのインタフェイスデザインが変更され、現在では小文字「x」の前後にスペースは入れられていません。(2022-07-06)

一方、「×」の前後にスペースを入れない表記もよく目にします。

Ars Technica
【引用サイト】Ars Technica, “The iPad Air 2: A host of hidden upgrades in one skinny package” (2018-03-29)

「×」の前後にスペースを入れる場合と入れない場合に、何か意味の違いがあるのでしょうか。


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2. スタイルガイドはスペースが必要といっている

『シカゴマニュアル第16版』の数学の文字組みに関する章には、次のような記述があります。

Basic spacing in mathematics. . . . Signs for binary operations (i.e., conjunctions); symbols of integration, summation, or union: and signs for binary relations (i.e., verbs) are preceded and followed by medium spaces: . . .

【訳】数学における基本的なスペーシング(…中略…)二項演算の記号(言ってみれば接続詞)、積分・総和・和集合の記号、二項関係(言ってみれば動詞)の記号は、その前後にミディアムスペースを伴う:(…以下略…)


The Chicago Manual of Style, 16th Edition
(Chicago and London: The University of Chicago Press – 2010) (項目12.16から抜粋)

二項演算には、足し算・引き算・掛け算・割り算なども含まれます。ミディアムスペースの詳細は省略しますが、通常のスペースと同じ幅か少し狭いスペースです。つまり『シカゴマニュアル』によれば、シンプルな数式では掛け算記号の前後にスペースが必要ということになります。

『シカゴマニュアル』の別の項(9.17)には、数値と単位記号との組み合わせの例に、掛け算記号を使った次の2例が含まれています。いずれも記号と掛け算記号と数字の間にスペースが入れられています。

2⅝″ × 9″
2 × 5 cm

また、『マイクロソフト マニュアル オブ スタイル[1]』の「寸法と単位」の項に示されている、掛け算記号を使った例(p.162)でも、記号と数字の間にはスペースが入っています。

1280 × 1024 monitor

掛け算記号の前後にスペースを入れる

実際、マイクロソフト社のサポートページでは、画面解像度は「&time;」の前後にスペースが入れられています。

Windows Help
【引用サイト】Windows Help, “Change your screen resolution” (2018-03-29)

『シカゴマニュアル』(The Chicago Manual of Style)については、当サイトの「このサイトの参考資料」ページをご覧ください。


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3. 「×」の前後にスペースがない理由

では、「×」の前後にスペースを入れない表記の仕方には、何か理由があるのでしょうか。

ここからはSpecAidの推測というか仮説でしかないのですが、「2560×1600」をひとつの単語としてとらえているのではないか、ということです。間にスペースが入ってないから見るからにひとつの単語ではないか、と言われればそのとおりです。

ディスプレイの解像度の代表的な規格は、「VGA」「WXGA」「WUXGA」といった名称で呼ばれることがあります[2]。「2560 × 1600」という画面解像度には「WQXGA」という名称があります。「WQXGA」サイズのディスプレイモニターの画面解像度(画素数)は、2560ピクセル×1600ピクセルである、という言い方をします。

つまり「WQXGA=2560 × 1600」というとらえかたができます。この「2560 × 1600」が規格の仕様ではなく、「WQXGA」と同じ意味の名称として扱われるようになった時に、スペースがとれて「2560×1600」となったのではないか、と考えられます。

スペースを空けた「2560 × 1600」は、数字がどのような値をとっても問題がない、と言えるでしょう。(実際はこのような半端な解像度のディスプレイは存在しないでしょうが)

  • 2559 × 1599
  • 2560 × 1600
  • 2561 × 1601

それに対して、スペースを省いた「2560×1600」は、全体でひとつの「かたまり」となり、一種の規格名のようにとらえられているのかもしれません。

  • 2560×1440 = WQHD
  • 2560×1600 = WQXGA
  • 3840×2160 = QFHD/4K

画面解像度のスペースの有無

英語の複合語は、その言葉や事象が社会に広く受け入れられるに従い、[空白あり]→[ハイフン]→[一単語]と変化します。例えば、米国野球の名前も「base ball」→「base-ball」→「baseball」と変わっていきました。これと似た意識の変化が「2560 × 1600」→「2560×1600」の関係の中にあるのではないでしょうか。

【参考サイト】Our Game, “Is It Baseball or Base Ball?

複合語の例:baseball


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4. 寸法の場合読み方は「by」

例えば紙の寸法を「8インチかける10インチ」と表現することがありますが、英語で「4 inches by 5 inches」と書きます。その「by」です。また、「8″ × 10″」の読み方は「eight inches by ten inches」(エイト インチズ バイ テン インチズ)です。

これと同様に、「2560 × 1600」または「2560×1600」の「×」は「by」(バイ)と読みます。

Q&Aサイト『Stack Exchange』には次のようなやり取りがありました。

How to pronounce the resolution 1280×800 in English?
How do I say “1280 × 800” in English? I’m not sure how to pronounce the “×” between the numbers. I’m talking about screen resolutions.

I believe most people say by for “×”, as in twelve-eighty by eight hundred.

【訳】解像度1280×800は英語ではどう発音しますか?
(問)「1280 × 800」は英語でどう言いますか?数字の間の「×」をどう発音するのかがよくわかりません。画面解像度の場合です。
(答)ほとんどの人は、「twelve-eighty by eight hundred」と同じように「x」を「by」というでしょう。
(…以下略…)


The Chicago Manual of Style, 16th Edition
(Chicago and London: The University of Chicago Press – 2010)(項目10.61)

English Language & Usage, Stack Exchange, “pronunciation – How to pronounce the resolution 1280×800 in English?” (2018-0328-29).


[1] Microsoft Corporation, “Microsoft Manual of Style (4th Edition)”, Microsoft Press, 2012

[2] ウィキペディアの執筆者,2017,「画面解像度」『ウィキペディア日本語版』(2017年8月5日)

お読みいただきありがとうございます。気が向いたらまた遊びに来てください。

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