コンマとアポストロフィがそっくりだが同じではなかった件

コンマとアポストロフィは、文字の下に置くか、上に置くかの違いだけで、形は同じだと何となく思ってましたが、「アポストロフィ:まっすぐなだけではツマらない」という記事を書く時に気になったので調べてみました。

コンマとアポストロフィ

アポストロフィには、「スマート」アポストロフィと呼ばれるタイプと、「ストレート」アポストロフィと呼ばれるタイプがあります。今回は、少し曲がった「スマート」アポストロフィとコンマを比べてみました。

スマートアポストロフィとストレートアポストロフィ

実は「スマート」アポストロフィは専用の記号がないため、「タイポグラフィ」引用符」の一重引用符を流用します。タイポグラフィ引用符は、引用部分の始まりを示す記号(開く引用符)と引用部分の終わりを示す記号(閉じる引用符)の形が異なっているのですが、「閉じる引用符」の方をアポストロフィとして使います。

タイポグラフィ引用符をアポストロフィとして使う

さて、コンマとアポストロフィがそっくりな件ですが、『シカゴマニュアル第16版』の「Apostrophes(アポストロフィ)」の項には、「スマート」アポストロフィは上に位置をズラしたコンマのように見える、と書かれています。

“Smart” apostrophes. Published works should use directional (or “smart”) apostrophes. In most typefaces, this mark will appear as a raised (but not inverted) comma. . . . 

【訳】「スマート」アポストロフィ:出版・発行される作品には、形に動きのあるアポストロフィ(または「スマート」アポストロフィ)を使うべきである。ほとんどのタイプフェイスでこの記号は、コンマを(反転させずに上下を保ったまま)上にずらしたように見えます。(…以下略…)

The Chicago Manual of Style, 16th Edition (Chicago and London: The University of Chicago Press – 2010) (項目6.114の抜粋)

「スマート」アポストロフィ(=タイポグラフィ引用符)とコンマは形はよく似ています。一重引用符の閉じる記号とコンマが全く同じ字形[2]のフォントもありますが、フォントによっては微妙に形が異なっています。コンマと引用符では、文字に対して使われる位置が違いますので、実際に組まれた時にバランスが崩れないようにフォントデザイナーさんが調整しているのです。

コンマとアポストロフィ(タイポグラフィ引用符)の比較
コンマとアポストロフィ(タイポグラフィ引用符)の比較

同じ形に見えるフォントでも、重ねてみると微妙な調整がおこなわれていることがわかります。

フォントデザイナーさんの緻密で繊細な仕事ぶりを思わず発見して驚いた、という話でした。

『シカゴマニュアル』(The Chicago Manual of Style)については、当サイトの「このサイトの参考資料」ページをご覧ください。

お読みいただきありがとうございます。気が向いたらまた遊びに来てください。